2019年 10月
平安のロマンス ~勧修寺の「タマノコシ(玉の輿)」伝説~
今春、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンで取り上げられる勧修寺。山科が誇る名刹に伝わる知られざる逸話を勧修寺の方に教えていただきましたので、ご紹介します。
<勧修寺の「タマノコシ(玉の輿)」伝説>
勧修寺は約1,000年前、平安時代の昌泰3年(西暦900年)に醍醐天皇によって創建された真言宗山階派の大本山です。
山号は亀甲山と言い、醍醐天皇御親作と伝える千手観音をご本尊として奉安しています。
このあたりの地名は「カンシュウジ」と言いますが、これは通称名で、正式には「カジュウジ」といいます。
勧修寺開創の縁起は、今昔物語集の巻22の第7に、美しい平安のロマンス物語・日本版シンデレラ物語として記されています。これを簡略していうと、平成の今日でこそにぎやかな山科ですが、この地も1,000年前は平安の貴族方がタカ狩りをされるジャングルでした。藤原家の青年貴公子の藤原高藤(フジワラタカフジ)さんは、この山科でタカ狩りの最中に大雨にあい、たまたま宮道列子(ミヤジタマコ)さんのお家にかけ込まれました。高藤さんは列子さんの美しさに見とれ、「今に妻として迎えに来るから。」と約束されました。列子さんはこのお言葉を信じて7年間待たれた後、めでたく結婚されました。
誕生された胤子(ツギコ)さんは宇多天皇の皇后となられ、醍醐天皇が誕生されました。醍醐天皇が列子さんのお家を寺にされたのが勧修寺です。
当時は封建時代で、藤原一族でなければ皇后にはなれないという時代でした。たまたま高藤さんがかけ込まれたそのご縁により、列子さんはご皇室のご縁者となられました。女性が高い身分や多くの財産をもつ人の妻になることを「タマノコシに乗る」といいますが、地元では、列子さんから誕生した言葉であると伝えられています。
2018年春、勧修寺がJR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンに取り上げられます!
「そうだ 京都、行こう。」は、中京圏や首都圏のお客様向けに、毎年京都の名所を取り上げる、JR東海のキャンペーンです。
今春は、山科区の勧修寺がキャンペーンに取り上げられます。春の山科の魅力をポスターやテレビCM等を通して伝えていただいています。
<おこしやす山科(JR東海共同制作山科観光PRパンフレット)>
<「そうだ 京都、行こう。」の公式ホームページ>
山科区の春のおすすめスポットをご紹介します
山科区内の春のおすすめスポットをご紹介します。
<随心院>
まずは、平安時代の女流歌人で、世界3大美女にも数えられる小野小町ゆかりのお寺、隨心院から。
梅の名所として知られる隨心院。3月1日~4月1日まで観梅会(かんばいえ)を行っています。境内にある梅園には、およそ230本の梅が植えられています。
薄紅色のことを古くは「はねず色」といい、梅園の梅は美しい薄紅色から「はねずの梅」と呼ばれています。
▲観梅会(かんばいえ)
梅が有名な隨心院ですが、美しい桜の古木も、境内に点在しています。年によっては、遅咲きの梅と桜を同時に楽しむこともできます。
▲隨心院総門前の桜
<山科疏水>
また、今年は明治150年の記念の年でもありますが、京都の明治期の貴重な財産である山科疏水があります。四ノ宮から日ノ岡までの約4kmにわたり両岸には桜並木が続きます。特に安朱橋周辺は菜の花も同時に満開になります。
▲山科疏水沿いの桜並木
<毘沙門堂>
山科疏水から北へ足を延ばすと毘沙門堂があります。境内の随所に美しい桜を見ることができます。
▲毘沙門堂を囲うように咲く桜
たくさんの桜が咲き誇る毘沙門堂ですが、特に宸殿(しんでん)前の樹齢150年とも伝わる枝垂れ桜が満開になる姿をぜひご覧ください。
▲毘沙門堂宸殿(しんでん)前の枝垂れ桜
<勧修寺>
毘沙門堂と同じく山科区にある門跡寺院の勧修寺も桜の名所の一つです。今春、JR東海の「そうだ 京都、 行こう。」キャンペーンで取り上げられ、注目が集っているスポットです。
池のほとりに建つ観音堂を囲むように咲く桜は、池の水面に映り大変華やかです。
▲勧修寺観音堂と氷室池に映る桜
勧修寺への参詣道沿いの桜並木でも、ソメイヨシノや枝垂桜が参詣者を迎えます。
▲勧修寺参道沿いの桜並木
暖かい春の行楽シーズンには、山科の名所を巡ってみてはいかがでしょうか。
<基本情報>
【隨心院】
○拝観料/500円
○小野梅園入園料/大人500円
中学生300円
○拝観時間/9:00~16:30
○住所/山科区小野御陵町35
○アクセス/地下鉄「小野」駅徒歩約5分
○公式ホームページ/http://www.zuishinin.or.jp/
【山科疏水】
○アクセス/地下鉄・JR・京阪「山科」駅徒歩約10分
【毘沙門堂】
○拝観料/大人 500円、 高校生400円、小・中学生 300円
※団体は1割引
○拝観時間/8:30~17:00
○住所/山科区安朱稲荷町18
○アクセス/地下鉄・JR・京阪「山科」駅徒歩約20分
○公式ホームページ/http://www.bishamon.or.jp/
【勧修寺】
○拝観料/ 大人 400円,小・中学生 200円(小学生未満は無料)
※団体は2割引
※春の特別公開(3月24日(土)~4月15日(日)の間は
大人600円,小・中学生300円(小学生未満は無料)
○拝観時間/9:00~16:00
○住所/山科区勧修寺仁王町27-6
○アクセス/地下鉄「小野」駅徒歩約6分